【ご報告】 2025年2月12日 OSA(政府安全保障能力強化支援)に関する意見交換会

NGO非戦ネットは2月12日、OSAに関して2023年度以来2回目となる外務省との意見交換会を衆議院議員会館にて行いました。


(政府安全保障能力構築支援:OSAとは?)
・2022年の「安保3文書」に基づき、日本が「同志国」とみなす途上国の軍に対して防衛装備品(武器)を無償で援助する枠組み。初年度(2023年度)の予算は20億円、2025年度予算では80億円と規模が拡大。非軍事での国際協力を行ってきた日本の政策の大転換であり、NGO非戦ネットは反対の立場を表明。


 

 会合を通じて9名の国会議員のほか、議員事務所関係者、報道関係者、市民の皆さんのご参加をいただきました。
 冒頭の30分では、NGO非戦ネットから3年目を迎えるOSAの実施状況と問題点を説明し、国会議員からのご発言を受けました。その後1時間半にわたり、事前質問に沿って外務省との意見交換を行いました。その部分は事前の申し合わせにより撮影不可とさせていただきました。

●外務省の説明のポイント
外務省総合外交政策局安全保障協力課より、OSAの概況説明およびNGO非戦ネットからの事前質問への回答を受けました。なお、質疑応答の詳細についてはこちらをご覧ください。

(外務省)
・戦争を起こしたいのではなく、平和を創出するためにOSAを実施している。
・平和国家の基本理念を維持するため3点の歯止めをかけている。①国際紛争との直接の関連が想定しがたい分野への限定。②防衛装備移転三原則及び同運用指針の枠内での実施。③適正性及び透明性確保の観点から、評価・モニタリングの実施と結果の情報開示、目的外使用の禁止を含む適正管理等に関する国際約束の締結。
・目的外使用があった場合には原状回復や再発防止といった是正措置を求め、従わない場合には以後の支援を止めるなど厳正に対処する。
・こうした歯止めがあるため、日本が支援した武器が直接に紛争で使われて人が命を落とすという極端な事態はおよそ考えられない。
・現在OSAで供与している資機材のほとんどは防衛装備品ではなく誰でも買うことのできる民生品。将来的には、自衛隊法上の武器(※)を援助することも可能。
・合意された目的に反して武器が使用された場合の責任は相手国にある。
・供与後のモニタリングは、ある程度定期的に行う。相手国の提供情報だけでなく大使館員が実際に行き、国際約束に基づき適切に使用されているか、目的外使用がないかを確認する。可能な範囲でホームページにて公開する
・市民社会・NGOとの協議について、ODAのような形(ODA政策協議会等)では実施できない。経済社会開発のODAとは異なり、OSAは安全保障政策や軍の運用に関わるため広く一般から意見聴取する形式にはなじまない。他方で、説明責任の観点から意見交換の機会があれば出席するのが基本と考えている。

※自衛隊法上の武器:火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等。それらを搭載する護衛艦、戦闘機、戦車など含む。

●意見交換会を終えて
・外務省は、OSAで供与された武器が人の命を奪うことは考えられないと強調していましたが、会場参加者との質疑応答を通じても疑問や懸念は解消されませんでした。
・資機材は(殺傷能力のない)民生品だとの説明でしたが、今後については(殺傷能力のある)自衛隊法上の武器の供与の可能性があると認めていました。
・使用分野の限定については、「警戒・監視」のためのレーダーが、例えば住民を爆撃する作戦行動を支援する「警戒・監視」に使われない保障があるのしょうか。
・目的外使用をチェックする大使館員のモニタリングは、相手国の軍内部の情報に立ち入って装備品の使用状況を確認することができるのでしょうか。
・OSAは市民との対話にはなじまない、との説明があった一方で、説明責任の観点から今回のような意見交換には基本的に応じたい、との発言もいただきました。今後も、このような意見交換の場を継続していきたいと考えています。

業務ご多忙のなか、意見交換に応じていただいた外務省に感謝申し上げます。
この意見交換会の開催にあたっては辻元清美参議院議員にご尽力いただきました。ここに御礼申し上げます。
以上

【関係資料のダウンロード】
(1)NGO非戦ネット説明資料:「非戦ネット説明資料」(PDF/438KB)
(2)外務省説明資料:「外務省20250212OSA資料(PDF/168KB)
(3)外務省への質問書:「外務省への質問書」(PDF/182KB)
(4)外務省との意見交換 質疑応答の概要:「外務省との意見交換_質疑応答の概要」(PDF/355KB)

 

この動画は2025年2月12日に行われた、OSA(政府安全保障能力強化支援)に関する意見交換会の様子です。NGO非戦ネットの発表と国会議員からの発言部分を公開しています。